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スマートメーターと出会った日: Home Assistant 体験記

Amazonのアソシエイトとして、Smart Home Laboは適格販売により収入を得ています。

外の壁に付いている小さな灰色の箱。
「スマートメーター」と呼ばれているけれど、正直これまであまり意識したことはありませんでした。毎月メールで届く電気代のお知らせ、それくらいが唯一の接点。

でも今年の10月、Home Assistant 2025.10 で Smart Meter B Route インテグレーション が追加されてから、その箱は急に「わが家の一員」になったのです。

まずは Wi-SUN USB ドングル(ラトックシステム製) を用意しました。
電力会社から Bルートの接続IDとパスワードを受け取り、Home Assistant サーバーにドングルを差し込みます。

「インテグレーションを追加 → Smart Meter B Route」
そう入力して、数分待ちました。

すると、新しいセンサーが現れたのです。

最初はただの大きな累積値。けれど、自分の家のメーターが直接話しかけてくる瞬間は、ちょっと感動的でした。

生の数値だけでは分かりづらいので、形を与えてみました。Home Assistant の utility_meter を使って「毎月の積算」を作ります。

「設定 → デバイスとサービス → ヘルパー → ヘルパーを作成 → ユーティリティメーター」でこんな風に設定しました。

ユーティリティメーターの設定
  • 名前 に「今月の消費量」など任意の名前を入力
  • 入力センサー には Smart Meter B Route の「Total consumption」を選択
  • メーターリセットのサイクル は「月間」
  • 純消費量 をオン
  • 定期的なリセット をオン

作成を押すと、今月分だけを積算してくれるセンサーが完成します。

さらに、コストも追加してみました。
私の電気料金プランは段階制で、

  • 120kWh までは 29.9 円
  • 300kWh までは 35.41 円
  • それ以上は 37.47 円

この条件を Template Sensor で書いてみます。「設定 → デバイスとサービス → ヘルパー → ヘルパーを作成 → Template → Sensor」 で以下を入力します:

コスト算出のテンプレートセンサー
  • 名前:「月間料金」など任意
  • State(YAML 部分に以下を入力 ⚠️ 注意: 上記の sensor.monthly_consumption は例です。実際には、あなたが作成したユーティリティメーターのエンティティID(例:sensor.electricity_monthly など)に置き換えてください。):
{% set consumption = states('sensor.monthly_consumption') | float(0) %}
{% if consumption < 120 %}
{{ consumption * 29.9 }}
{% elif consumption < 300 %}
{{ consumption * 35.41 }}
{% else %}
{{ consumption * 37.47 }}
{% endif %}
  • unit of measuremen:JPY/kWh
  • 状態クラス:測定
  • デバイス:Smart Meter B Route

プレビューで確認してから「送信」を押すと、リアルタイムで電気代を計算してくれるセンサーが完成します。 こうして、kWh だけでなく「円」で見ることができるようになりました。数字がぐっと身近に感じられます。

ある日、アイスを食べながらダッシュボードを開いてみました。 すると、24時間の消費量がグラフに。

朝方のエアコン、昼のテレビ、夜の静けさ。 グラフには、家の「生活リズム」がそのまま現れていました。

📊 今日の時間別電気使用量

時間別の電気使用量

まるで家の心臓の鼓動を覗き込んでいるような感覚です。

🕵️ 電気代の中に潜む「隠れキャラ」

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テレビや冷蔵庫、エアコンなどにスマートプラグをつけて、「これで全部わかった!」と思っていました。ところがエネルギーフローのグラフを見たとき、太いグレーのバーが目に飛び込んできました。未追跡の消費です。

Energy Flow Diagram

家のどこかで、電力がこっそり流れている。廊下の照明かもしれないし、ルーターかもしれないし、充電器の群れかもしれない。ひとつひとつは小さな消費でも、積み重なると無視できない量になるんだと気づきました。

スマートメーターは「知っていたこと」を教えてくれるだけじゃなく、「知らなかったこと」を突きつけてきたのです。

さて、ここからが面白いところです。 もっとスマートプラグを増やしてみる? 平日と休日で「未追跡」のグレーのバーがどう変わるか観察する? 深夜にヒーターを切り忘れていないか突き止める?

全部を完璧に管理する必要はありません。大事なのは、メーターが「道しるべ」になってくれること。データはクラウドに行かず、すべて Home Assistant にローカルで残ります。

この統合は単なるツールではなく、家のエネルギーの流れをもっと知りたくなる「招待状」なんです。 そして気づきました。 本当の驚きは、案外すぐそばの、見えていなかったところに潜んでいるのかもしれません。